現行300系のルーツとなったのは、1960年に登場したFJ55
1950年、当時の吉田茂首相が創設したのが警察予備隊で、現在の自衛隊の前身にあたる。
1951年、その警察予備隊から軍用トラックの要望があり、大量発注を見込んで、自動車メーカー3社が競争入札に応じた。
その3台とはトヨタのBJ、日産の4W60、そして三菱は本家アメリカのウィリス・オーバーランド社のジープだった。三菱は本家ジープのノックダウン生産モデルで、採用されたのも三菱のジープだった。
すでにウィリス・ジープは米軍で高い評価を受けており、当然の結果ではあった。
一方、トヨタとしては一度は形にしたBJが無駄になるのは避けたく、それなら民間用に売ってしまおう、ということで誕生したのがトヨタ・ジープで、1953年に量産を開始する。
ジープという車名は商標ということを知らずに付けてしまったもので、あわてて1954年に車名がランドクルーザーに変更された。これが現代まで続くランドクルーザーの始まりということになる。つまりランドクルーザーという車名は70年にわたる歴史を誇るもの。
これはカローラはもちろん、1955年に登場したクラウンよりもさらに長く、日本を代表するモデルである。
その後、1960年には名車の誉れ高い40系ランクルが登場する。ヨンマルの愛称で呼ばれ、現在でもマニアの間では人気のあるモデルである。40系はきわめて高い信頼性を誇り、悪路での高い走破能力が世界中で評価されたこともあって、じつに24年間にわたって製造された。ランドクルーザーの名を世界中に轟かせるクルマになった、エポックなモデルだった。
その40系をベースに1960年に登場したのがFJ55という型式のランクル。40系の5ドアバンをベースにホイールベースを伸ばし、ボディを近代的なステーションワゴンタイプとしたクルマだった。
国内ではバンのみの扱いだったが、世界的にはランドクルーザー初の本格的ステーションワゴンとして認知されたモデルとなる。つまりこのモデルが高級ラグジュアリークロカンのルーツとも言え、現行300系ランクルへとつながる初代モデルと位置付けられる。ランドクルーザーは折々でタイプが枝分かれして、それぞれがさらに進化していくのも特徴と言っていい。
ガチンコライバルだった日産のSUV
プラドが廃止で250型が登場
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STYLEWAGON(スタイルワゴン)5月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]