静粛性/乗り味/AWDの進化を徹底レビュー!
あれ、ヴェゼルってこんなに曲がるのが気持ちいいんだっけ?
ひさびさにヴェゼルを運転してちょっと驚いた。峠道の深く曲がり込んだコーナーで、ハンドル操作に応じてノーズがどんどん内側へ向き、グイグイ曲がる感覚が爽快なのだ。同じ道で2WDと4WDでも試してみたけれど(いずれもハイブリッド車)、キビキビ曲がる感覚は同様。ヴェゼルって意外なほどにコーナリングマシンだということを再認識させられた。
そんなヴェゼルは先日マイナーチェンジを実施。その際に「2WDのハイブリッド車」はサスペンションのチューニングや電動パワーステアリングの制御を変更している。従来は「2WDはキビキビ」で「4WDはしっとりした乗り心地」とあえて乗り味に変化をつけていたが、新型ではその変化の差が少なくなっているとのこと。つまり2WD用はサスペンションをしなやかにしたということだ。
とはいえ、冒頭のように峠道を走れば、水を得た魚のようにスイスイと走ることができるのも自慢していいレベル。ひとことでいえば「新型の2WDモデルはトータルバランスが良くなった」というところだろう。
走りの面では、もうひとつの進化がある。それはハイブリッドシステムの改良だ。
「e:HEV(イー・エイチ・イー・ブイ)」と呼ぶホンダのハイブリッドシステムは、通常走行領域はエンジンを止めてバッテリーの電気を使ってモーターで走る、もしくはエンジンを発電機としてまわし、そこで起こした電気を使ってモーターで走る。高速領域になるとエンジンの力をそのまま駆動力としたり、急加速時などはモーターとエンジンの出力を合わせて駆動力とすることもあるが、街中では日産の「e-POWER」のようにモーター走行が基本になっている。
そんなハイブリッドシステムは新型もハード面に変更はないが、制御を変更。バッテリーの使用領域を拡大し、エンジンを掛ける頻度を低減。これまではエンジンを掛けるようなシーンでもエンジンを掛けずに粘るようになったのだ。
実は、どのハイブリッドカーもバッテリーの能力(容量)をフルに活用しているわけではない。安全マージンや耐久性を考え、制限を掛けているのだ。新型はその制限を緩和することで、これまでよりもバッテリーの能力を発揮できる設定にしたというわけである。
おかげで街中など日常走行においてエンジンのかかる頻度が激減(エンジンの始動/停止の切り替えが約3割減っている)。まるでEVのように静かに走るシーンが増えた。これは快適性にとって大きなプラス要素である。
それに加え、ドライビングプレジャーを高める改良も実施。SPORTモードに入れるとアクセルの踏み込みに対するレスポンスを早めるだけでなく、アクセル開度初期の駆動力を最大で30%もアップ。つまりよりキビキビと走れるようになったというわけだ。
そして、ハイブリッド車は天井の吸音材の厚さを2倍にしたのをはじめ、エンジンルーム後方の吸音材の量を4割も増やすなど、静粛性が大きく向上。これも快適性向上に直結するが、エンジンがかかってもそれが目立ちにくくなっていることを実感できる。
今回のマイナーチェンジでは、単に外装など見た目のリフレッシュだけでなく、中身の進化もかなり濃い。ホンダの本気が垣間見える走りの進化にも要注目である。
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STYLEWAGON(スタイルワゴン)2024年8月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]